海外赴任や留学が決まったとき、荷造りで多くの人が頭を悩ませるのが「食の環境」ではないでしょうか。特に日本人にとって、毎日の食卓の主役である「お米」が変わることは、死活問題と言っても過言ではありません。
私は現在、アメリカ・マサチューセッツ州のボストンエリアに滞在中ですが、渡米当初はまさに「お米迷子」でした。今回は、ボストンで暮らす中で見つけた、お米事情のリアルと、試行錯誤の末に行き着いた我が家の選択についてお伝えします。これからボストンにいらっしゃる方や、現在アメリカでお米選びに迷っている方の参考になれば幸いです。
渡米直後の悲劇:コストコのお米で知った「お米のありがたみ」
アメリカに来てすぐ、右も左も分からない中で、とりあえず生活基盤を整えようと向かったのがコストコ(Costco)でした。日本でもお馴染みのトイレットペーパーや洗剤、お野菜や60個パックの卵など、生活に必要なものを大量に買い込む中で、大容量の日本米らしきものを見つけ、「とりあえずこれでいっか」と購入したのです。
しかし、実際に炊いて食べてみて衝撃を受けました。
「なんだか、ちょっとパサパサする……? 粉っぽいというか、日本のあのふっくらした甘みがない……」
炊き立てはまだ何とか食べられたものの、おにぎりにして冷めてしまった日には、さらに食感が損なわれてしまい、正直なところ「美味しくない」と感じてしまいました。毎日食べる主食がこれでは、ちょっと先が思いやられるぞ……と、渡米早々に小さな絶望を味わうことになったのです。
炊飯器持参の正解と、まさかの「計量カップ事件」
お米の味を左右するもう一つの重要アイテム、それが「炊飯器」です。我が家は、変圧器と一緒に日本から愛用の炊飯器を持参していました。
現地のアメリカでも炊飯器は手に入りますが、値段は高く、選択肢がかなり限られていたりします。そのため「炊飯器は日本から持ってきて本当に良かった!」と心から思っています。変圧器を使う手間はあるものの、毎日美味しいご飯を食べるためには不可欠な相棒です。
……しかし、ここで大きな事件が起きました。
なんと、日本からお米を計るための「お米の計量カップ」をすっかり忘れてきてしまったのです。
これが想像以上に大誤算でした。しばらくの間、正確な量が測れずに感覚で炊くはめになり、水加減が毎日ギャンブルのよう状態に。しかも、アメリカの「1カップ」は日本の200mlとは違い、235mlだったり250mlだったり、、というトラップもあり、日本のレシピ通りにいかないもどかしさに頭を抱えました。もしこれから渡米される方がいたら、「変圧器」とセットで「計量カップ(お米用の1合が測れるもの)」、「しゃもじ」をスーツケースの隙間にねじ込んでおくことを、全米に向けて声を大にしておすすめしたいです。しゃもじも必須です。
使い分けがカギ!ボストンのお米調達スポット事情
試行錯誤を重ね、ボストンエリアでお米を手に入れる主な選択肢として、以下の4つをパトロールし尽くしました。
- Maruichi(マルイチ):本格的な日本の食材や、こだわりの銘柄米を手に入れたいときの強い味方。品揃えの安心感は抜群です。ボストンにはブルックラインとアーリントンにあります。お米以外も化粧品などの日用品から雑貨まで、日本のものが一通り揃います。ブルックライン店の方が大きく、道の向かい側にカフェもあり、地元の方で賑わっています。取り扱い銘柄:こしひかり各種、ひとめぼれ、ゆめぴりか、ななつぼし、玉錦、かがやき、ふくら、マルイチ厳選米など多数。各種玄米もあり。
- H Mart(Hマート):アジア系スーパーの王道。韓国ベースですが日本のものも食材を中心に多くの取り扱いがあります。お米の種類も豊富で、日常の買い出しに欠かせません。取り扱い銘柄:こしひかり、かがやき、錦、国寶、雪花、はるはるなど
- Costco(コストコ):大容量でコスパ重視のときには便利ですが、前述の通り銘柄や好みが分かれる印象です。取り扱い銘柄:国寶
- Weee!(ウィー):アジア系食材の宅配サービス。自宅まで重いお米を届けてくれる利便性が最高です。野菜、肉、魚などの生鮮食品も充実していますし、日用雑貨もかなり揃います。取り扱い銘柄:こしひかり、ななつぼし、ひとめぼれ、錦、雪花など多数。
数ヶ月が経ち、現地の生活リズムや好みが落ち着いてきた現在、我が家の結論はこうなりました。
「値段重視やまとめ買いならWeee!で。味をしっかり楽しみたいならMaruichiで好みの銘柄を。」
日本の自宅では、北海道のお米が好きでいつも「ななつぼし」を食べていたのですが、なんとありがたいことに、Weee!でも「ななつぼし」の取り扱いがあるのを発見しました。あの程よい粘りとさっぱりした美味しさが自宅で再現できると分かってから、我が家のお米調達はWeee!をメインにすっかり落ち着きました。
もう一つ、便利でおすすめがあって、Hmartで見つけたパックご飯です。韓国のものですが、常温保存OKで、電子レンジでチンか、湯煎で温かいご飯がいただけます。日本のパックご飯の技術は素晴らしいので、正直、味は少し劣ります。でも、アメリカ国内、またはアメリカから日本以外への国への長期旅行で、このパックご飯がめちゃくちゃ役立ちます。私はフロリダディズニーワールドに10日間の旅行に行きましたが、テーマパークとホテルには冗談抜きにピザかハンバーガーしかありません。時々レストランで食事するにしても、似たようなものです。パックご飯を持参すれば、ホテルのお部屋か、フードコートなどに電子レンジがあることが多いので、温かいご飯を朝ごはんやお夜食にすることができます。旅行中にご飯が食べられるありがたみを実感しました。
お米の枠を超えて:ローカルスーパーの発見と新たな出会い
こうして「お米事情」は無事に解決したのですが、アメリカでの食生活は、日本米だけに縛られない楽しさも教えてくれました。
余談ですが、現地の一般的なスーパーに行くと、日本のスーパーでは見かけない細長いお米(ジャスミンライスやバスマティライスなど)がずらりと並んでいます。これらを思い切って買ってカレーやスパイス料理に合わせてみたところ、これがパラっとしていて驚くほど美味しい! 日本米とはまた違う魅力の虜になりました。
さらに、生活が広がっていく中で、アルジェリア人のママ友から「クスクス」という食材を教えてもらったことも大きな収穫でした。日本ではおしゃれなサラダに使われているようなイメージでしたが、試してみるととても簡単で便利でした。お湯やスープで数分で戻せて、サラダ仕立てにしたりスープに入れたりと、我が家の定番メニューの仲間入りを果たしました。海外生活の醍醐味は、こうした思わぬ食の異文化交流にあるのかもしれません。
おわりに
たかが「お米」、されど「お米」。
慣れない海外生活の初期、美味しいお米に出会えないストレスは、想像以上にメンタルに響くものです。しかし、どこで何が買えるのかが分かってきたり、自分の口に合う銘柄を見つけたり、ちょっとした調理の工夫を重ねたりするうちに、我が家の食卓はどんどん豊かになっていきました。みなさんのボストンライフ、そして海外生活の食卓が、美味しい笑顔で満たされますよう願っています。



